梅田の新刊書店ガイド・サイン本捜索編

前段

好きな作家さんの文芸書の新刊が出る、もしくは出たと知って情報を集めている時に、その新刊のサイン本の存在を知ってしまうことがある。作家ご本人や版元が「サイン本を作りました」とネットに発信されていたり、どこかの書店でサイン会が告知されていたり、読者からサイン本を買いましたとのSNSの投稿があったり、その情報の出所や内容はそれぞれなのだけれど、大きな書店ならその新刊のサイン本が販売されているかもしれない可能性を感じることがある。

サイン本がどこかの書店にあるかもしれない!となると一応、いくつかの書店を巡ってみたくなる。本にサインがあろうがなかろうが、その本の内容が変わるわけではないのは勿論わかっているのだけれども、文庫本より単行本を求めてしまうように、サイン本にこだわってしまう気持ちはファン心理としてある。

もしサイン本が見つかるなら手に入れたいなあ思うときは、関西在住なので梅田の書店をいくつか巡って探してみることにしている。関西では梅田が一番捜索効率が良いので*1。そうしたサイン本捜索時のコツやメモを梅田の新刊書店ガイドとしてまとめた。2019年4月時点の情報でかつ、あくまでも私見なので、一意見としてどうぞ。

紀伊國屋書店 梅田本

www.kinokuniya.co.jp

  • サイン本:とてもよくあるが、すぐ無くなる。

阪急梅田駅の中央改札からすぐ、阪急三番街の一階BIGMAN前にある、阪急梅田駅の利用者なら全員知っているだろう紀伊國屋。抜群の立地と程よいフロアの大きさで普段通いしやすく、用がなくともつい足が向いてしまう。サイン会が開催されることも多く、大変お世話になっています。

サイン本が店頭に並ぶことも多いのだけれど、来客数が多いこの店舗はサイン本がなくなるのもかなり早い。「昨日見かけたあのサイン本、やっぱり買おうかな」と思い返しても、大体の場合はもう残っていない。ここで平日に開催されたサイン会には参加出来なかったけれど、サイン会後に恐らく追加でご作成されるだろうサイン本を週末に手に入れよう、なんて考えていると週末まで持たずに完売することもあり、もう一期一会のチャンスすら掴めないことも。

サイン本は中央レジ前の新刊コーナーか文芸棚の平積み棚によく置かれている。BIGMAN前の東側(JR側でない方)の入り口にも文芸本の新刊平積みコーナーがあり、そこにひっそりとサイン本が置かれているケースに注意。

MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店

honto.jp

  • サイン本:よくある。

紀伊國屋梅田本店と並ぶ、梅田を代表する本屋。阪急梅田駅から少し北に歩く立地は紀伊國屋梅田本店に劣るけれども、規模は梅田最大級。ここになかったら関西にないですね、と言えそうなレベルの蔵書量で、本の中身を確認しながらあるジャンルの専門書を選びたい場合はまずここに行く。わかりやすいフロア見取り図に見やすい棚、検索性の高さはさすがジュンク堂。蔵書の多さと検索性の高さが両立している、梅田に行くとまず足を運ぶ大好きな本屋。サイン会も度々開催され、こちらもお世話になっています。

サイン本の入荷も結構あり、二階の文芸本新刊棚に置かれることが多いので、紀伊國屋梅田本店ほど即完売してしまうことは多くない。「丸善ジュンク梅田店にサイン本がある」という情報を掴めたら、その週末に足を運んでみると大抵まだ残っている、という位の感覚。思わぬ文庫本のサイン本が新刊棚にあることも多々で、何となく足を運んだら幸運な出会いがある。

梅田 蔦屋書店

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  • サイン本:意外なものがよくあるし、残っている。

ルクアイーレの9階にある、素晴らしい蔵書に最低の陳列、という困った本屋。スタバやエスカレーターをフロアの中心として、その外周を描くように本棚が並んでいるのだけれども、この長円型の動線設計のせいで自分の位置をすぐに見失ってしまい、見取り図を見ても目的の棚に辿り着けない。本棚を物色していると人とぶつかることが多いのも特徴。検索端末で本を検索しても、検索結果の棚の位置がわからないのは最早ギャグ。陳列はとりとめがなく、本以外の情報量やノイズも多いので、いつもの書店にいるつもりで意識のアンテナを立てながらフロアを巡っていると、あっという間に酔ったり頭痛に襲われる。

しかし蔵書は素晴らしい。キュレーションのセンスが珍しく、あまり流通していない本を見かけることもある。興味のあるジャンルの棚を見つけられたら、本選びを楽しめそうだとは思う。ただその見つけた棚を、次回訪問時にも見つけられるとは限らないのだけれど……。人間が立っている時の目線の高さを考えて陳列されていないので、背伸びしたりしゃがんだりして陳列を確認するのだけれど、棚の前で立ち止まっていると通行人とぶつかるので、あまりじっくりと確認もできない。とにかく導線設計が最悪。

サイン本の品揃えは、穴場。紀伊國屋ジュンク堂にないサイン本が蔦屋書店にだけはあったりする。東京の蔦屋書店が持つ強固なコネクションが梅田にも波及しているのだろうか。そしてサイン本をアピールする気が薄い陳列なのもこの書店の大きな特徴。数カ所で大きく平積み展開されている新刊のサイン本が、通常の日本文学の棚にだけひっそりと置かれていたりする。オレでなきゃ見逃しちゃうね!とサイン本ハンター気分も楽しめる書店。

ブックファースト 梅田2階店

  • サイン本:ある。無くなるのも早い。

www.book1st.net

ブックファーストは梅田阪急駅周りに三カ所あり、改札前の店舗らしくどの店もこぢんまりとしているけれど、この梅田2階店は比較的大きいか。すぐ近くに数倍の規模がある紀伊國屋梅田本店があるので、あまりこの本屋に用事はないけれど、JR大阪駅と阪急梅田駅を陸橋で繋ぐルートにあるのでふらっと立ち寄りやすい。表紙を向けた陳列が綺麗でなんとなく吸い込まれてしまうし、午後11時まで開いているので、夜遅くに買い逃した本を思い出したときに便利だ。

サイン本は、店の規模から想像される以上に置いてあり、作家さんのサインポップも結構ある。サイン本探しの場所としては穴場ではあるけれど、来客数が多い店舗なのですぐに無くなってしまう。

ブックスタジオ 大阪店

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  • サイン本:多少ある。意外なものが残っていたり。

JR大阪駅の御堂筋口の北側(ヨドバシカメラ側)の陸橋前にある書店。大きなフロアの本屋ではないのだけれど、サイン本は多少見かける。何せよ立地が良いので、サイン本捜索時に立ち寄りやすい利点がある。サイン本は新刊平積みコーナーに置かれていることが多い。

購入を諦めていたり期待していなかった新刊サイン本をこの書店でふらっと見つけたことが二度あるので、つい確認したくなる書店ではある。

紀伊國屋書店 グランフロント大阪

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  • サイン本:ある。穴場。

グランフロント南館6階にある紀伊國屋書店。フロアに余裕があるので混雑が予想される芸能人のサイン会は梅田本店よりこちらで開催されがち。

グランフロントが混雑極まるスポットなので、JR大阪駅から近い立地の割には足が向き辛い。ただそのおかげか、サイン本は意外なものが結構残っていたりする。紀伊國屋梅田本店でのサイン会から流れたサイン本がここに残っている場合もあるので、梅田本店で即完売してしまったと思われるサイン本を求めて訪れてみる価値はあると思う。

なおサイン本の陳列スポットが新刊棚、日本文学の平積み棚と分散しているので、見逃しがないように注意しよう。

ジュンク堂書店 大阪本店

honto.jp

  • サイン本:多少ある。

梅田から多少歩く堂島にある立地が難点。大阪梅田でサイン本を捜索するなら、こちらの南側に行くよりは、紀伊國屋梅田本店と丸善ジュンク梅田店、あと蔦屋書店がある北側に行く方が効率が良い。ただこの書店の陳列はとても見やすく、同じ系列の丸善ジュンク梅田店よりも新しい発見があったりするので単純に書店として足を運んでみる価値はある。

この店でもサイン本を多少見かけるけれど、ここにしかないサイン本は見つけたことがない。紀伊國屋梅田本店とグランフロント店、丸善ジュンク梅田店で見つけられる範囲のサイン本がある印象。ただ書店として居心地がいいので、足を運んで空振りしても、不思議と損をした気分にはならない。

*1:少し前までは心斎橋のアセンスとスタンダードブックストアも有力な捜索範囲だった