the chemical brothers@SUMMER SONIC 2015 (2015/08/16)

長い間、音源だけを聴きながら想い焦がれていたアーティストのライブを初めて観る、このような体験は、きっともうこのライブが最後だろう。充分に大人になり金銭的に余裕ができた今では、気に入ったアーティストのライブはその気になれば来日した時に観に行けてしまうし、新しいアーティストに情熱を傾けること自体が最近では少なくなってしまった。

the chemical brothersは、実家にいる兄から教わった最後のアーティストだった。「前はダスト・ブラザーズと名乗ってたけど、今はケミカル・ブラザーズになった」とデビューアルバムのCDを貸してもらったけれど、ダスト・ブラザーズって確か古いアーティストじゃなかったっけ? と余計に混乱した記憶が、頭の片隅に懐かしく残っている。

このアルバム "Exit Planet Dust" から受けた影響は大きかった。当時ロック一辺倒だった音楽趣味の方向性を広げられ、「CD屋のCLUBってコーナー、他にも試聴してみたら色々面白そうな音楽あるやん。ROCK以外の棚も回ろう」と積極的に興味の幅を広げるきっかけになった。当時大好きだったoasisのNoelと共演したシングル "Setting Sun" は勉学の友として何百回と聴き続けたし、次のアルバムである "Dig Your Own Hole" がリリースされる頃には逆に、アメリカンなハード・ロックを聴くことが無くなる程、興味の方向性を変えられてしまっていた。

"Surrender" がリリースされたの頃には、ROCKよりCLUBの棚の方をチェックして彼らのフォロワーを探すようになり、ハウス、アシッド、サイケデリックへアプローチを強めた "Come with Us" を聴いて、彼らに並び立つものはやはりいないと実感した。"The Golden Path" 一曲のためだけに高い値段のベスト盤を買い、その一曲のみを堪能して満足することができる程に好んでいた。

ただ、常に彼らを盲信していた訳ではなく、"Push the Button" や "We Are the Night" については、最初は良いアルバムだと感じることができないでいた。その頃は、彼らの楽曲の重厚で完成度の高い部分を野暮ったく感じるようになってしまっていたし、過去作によって高く伸びきってしまった期待のハードルを越えることが難しくなってきていた。単純に音楽に対する飽きもあった。

しかし、好こうが飽きようが、彼らの音楽は脳にしっかりと刻み込まれ続けていた。二枚目のベスト盤である "Brotherhood" のボーナスCDに収録されていた "Electronic Battle Weapon" 集を聴き、彼らの粗削りな一面に触れて、やっぱり彼らが好きなんだなと再認識させられた。そして、オリジナルアルバムとはまた違う彼らの魅力に触れたい、ライブを観たい、と強く感じるようになった。

その後、行けなかったフジロックでのライブを収録した "Don't Think" の映像を劇場で上映すると知り、ミナミまで足を運んだ。そこでは、長い間聴き倒した音源達が姿を変えて次々に襲いかかってくる映像に衝撃を受けたけれども、そのライブパフォーマンスの素晴らしさに「ライブ映像」という形態の限界も感じられてしまった。やはり、生でライブを感じなければならない。次の機会は逃すまい。

このような期待の高まりがあった上で2015年、来日の報が耳に入ってきた。しかもフェスだ。"Don't Think" のリベンジをするにはもってこいの舞台で、気持ちが盛り上がらないわけがなかった。


SUMMER SONIC大阪の一日目、熱中症で体調を崩し、さらに二日目、財布を落とし、過去に体験したことが無いトラブルが個人的に多発したフェスだったのだけれど、不思議とヘッドライナーのthe chemical brothersを迎える気持ちには曇りがなかった。

彼らを観ることがこの土日の最大の目的であり、それに直接影響のないトラブルは、些末なものでしかなかった。

開演を前にして、どの曲を演って欲しい、という気持ちは全く沸かなかった。特別好きな曲は幾つかあるけれども、どの曲でも盛り上がる事ができそうな心持ちだった。どの曲も演って欲しいという気持ち、と言い換えることができたかもしれない。

開演時間になっても彼らはなかなか姿を現さなかった。ただ、回転数を落としたthe beatlesの "Tomorrow Never Knows" のボーカルフレーズ "Surrender to the void" が何度も何度もループする、その奇妙な状況から少しずつ、場の雰囲気が作られていった。

ようやく二人がステージに姿を現したのは、開演時間から約15分後だった。

そして、待ちくたびれて一触即発状態の観客に投下されたフレーズ "Hey girls" で、空気が爆発する。一曲目 "Hey Boy Hey Girl" のイントロだけで、Superstar DJ'sはその場の空気と歓声を一気に掴み取った。曲を知らなくてもノリで盛り上がることができるHBHGは最強だ。

体力の限り延々熱狂し続けられそうなHBHGから "EML Ritual" で少しクールダウン。そして "Do It Again" で、展開の再構築が開始される。ここから、最新シングルの "Go" に繋げる流れが圧巻だった。リードトラックなのに、Do It Againからのトラックの流れを残して大胆に再構築。地味ながら屈強なトラックに生まれ変わった新曲に対し、観客からの喝采が次第に大きくなっていく。

そして、"Swoon" のイントロフレーズでその喝采がピークに達した。ここから "Star Guitar" への流れはフジロック同様だったけれど、分かっていても興奮が冷めることは全くない。分かっていても次の音を、次の展開を欲してしまう。これが聴きたかったのだ。夢にまで観たシーンが今、目の前で演奏されていることに感動した。

シングル曲と新譜曲で構成されるこのセットでは、新譜曲がブリッジ役を勤めることになる。 "Sometimes I Feel So Deserted" で改めて立て直し、彼らの代名詞である "Chemical Beats" からバキバキと再着火。それから、"Acid Children" で空気をビリビリと尖らせて、"Setting Sun" のボーカルフレーズを突っ込んで会場を一気に沸騰させる。もう代表曲何曲あるねん状態。どこからでも沸かせられるマジックカットアップが、あのステージの機器には詰まっていた。

"Setting Sun" は "Out of Control" のベースフレーズと組み合わせたスピード感のあるアレンジになっていて、ここで観客のボルテージは最高潮に達した。しかし、彼らはまだ止まらない。 "It Doesn't Matter" を挟んでから、満を持して "Saturate" を投下。手拍子を誘ってから、じわじわと高めて最後には爆発できることができるこの曲で、観客は万歳しながら大歓声。何度目の爆発か。

盛り上がり過ぎてそろそろ頭が麻痺してきた頃、ここから急に "Electrobank" で狂気の世界に突入させられる。さらに、 "I'll See You There" で白塗り舞踏の映像を記憶に焼印されられる。

そして、攻撃的なアレンジが施された "Believe" で盛り上がり殺されて、本編が終了。もう結構な時間演ったように思えたけれど、アンコールへ続きそうな余韻が当然のように残されていて、観客も小休止状態。

緩やかに "The Sunshine Underground" が流れる中、彼らが再登場する。そこから、煌めくフレーズ "Escape Velocity" で一気に加速。そして "Don't Think" のボーカルフレーズが挟み込まれながらの "Under the Influence" に突入。

ここで突然、レトロ感溢れる赤青の巨大ブリキ系ロボットが二体ステージの左右に登場し、手足をバタバタさせながら目からビカビカとレーザーを発射し始めた。アンコールに入ってからのまさかの大仕掛けに大興奮。最後には耳から煙を吹き出し、音楽と共にロボットも停止してしまう演出もあって、こちらにはなんでやねんと大爆笑。

これで終わるか?と一瞬思ったが "Galvanize" のイントロで引き戻される。まだまだ終わらない。"Music: Response" を軽くねじ込みながら、お待ちかねの "Block Rockin' Beats" で観客の体力を絞り尽くす。このBRBが最後の曲となった。

ライブ終了後、打ち上がった花火を見ながらふと時計を見ると21時20分。タイムテーブルの終演予定より30分オーバーだ。ワンマンのようなボリュームのライブだった。

新旧代表曲のフルコースで何度も何度も盛り上がり続けたライブだった。聴いた当時の思い出が走馬灯のように駆け巡った……なんてことはなく、ただただ無心で興奮できたライブだった。ライブを観始めた頃のような新鮮な感覚で、脳に刻み込まれた音楽が無意識に掘り起こされる、一度きり二度とない体験をすることができた。

  • Hey Boy Hey Girl
  • EML Ritual
  • Do It Again
  • Go
  • Swoon
  • Star Guitar
  • Sometimes I Feel So Deserted
  • Chemical Beats
  • Acid Children
  • Setting Sun/Out of Control
  • It Doesn't Matter
  • Saturate
  • Electrobank
  • I'll See You There
  • Believe
  • The Sunshine Underground
  • Escape Velocity
  • Under the Influence / Don't Think
  • Galvanize
  • Music: Response
  • Block Rockin' Beats

時々で濃度は違えど、好きでい続けている。こんなアーティストとの関係は、音楽を好きでい続けてさえいれば、きっと誰にでもある。日々、何気なく聴いている音楽との時間が薄く薄く積み重なった結果、その地層に深く染み入るような感覚に感動してしまったのだろう。

この感動は、即席で見知った知識だけでは得ることはできないけれど、得るためには特別な才能はいらない。流行に左右されることなく、ただ地道に一つ一つ音楽を噛み締めていくことの大切さを感じたライブだった。

ヒュプノノーツメモ

ヒュプノノーツ面白い!でも三部が難しい!挫けそう!と、なかなか三部をクリアできなかった時のメモ。道中のネタバレのみアリ。iOS版(バージョン1.0.3)を元にこの記事を書いているので、Android版は少しバランスが違うかもしれない。

また、四部以降も後ろに少し記載しているので、三部だけを乗り切りきりたい人はスクロール注意。

三部

基本的な立ち回り

  • 社交で戦う相手は状態異常でステータスを落とす攻撃を持っている。ステータスが落ちると一気にハマる可能性があるので、基本的に社交で戦う相手からは逃げること。ただしスクールカーストを持っている場合は別。
  • 試練には挑戦する。
  • 授業がつまらない時はHPが少なければ寝る。
  • 母親の干渉には黙っておく。
  • ナンパは断る。

マッチのお店

  • 使ってステータスを上げるアイテムより武装の方がコストパフォーマンスがいい。武装を優先して買いたい。
  • 同じ武装を持ってもステータスは二重で上がらないことに注意。
  • HPを回復させるアイテムは極力買いたくない。武装や必殺技に回したい。HPはレベルアップ時に全快するのみで維持できるように立ち回ること。

母親との戦いまで

  • 最初は距離40手前でうろついて英語とのみ戦いレベルを上げる。社交が上がってくるまで英語以外とは戦わない。地味っ子や国語教師からは徹底的に逃げること。
  • 味っ子と戦っていいのは社交6以上か、社交4以上で友達が仲間になっていて、かつ道中に使っていい状態異常を治せるアイテムがある場合のみ。この位のステータスであれば、相手からは一発食らうのみで倒せるのでリスクは少ない。
  • クラスの子と友達になるのがまずは第一目標。友達が仲間になるまでは距離40手前位をうろつき続ける。
  • 友達が仲間になったら自信を上げる。国語教師をカモにできる位になったら先に進む。
  • 中ボスである母親との逃げられない戦いが距離100〜129で発生する。HP全快で自信が18くらいあると良いので、力への意志脱法ドラッグで万能感を持った状態、HPにも余裕がある状態で距離100に踏み込むこと。よって、それまで万能感になれるアイテムを温存しておくことがポイント。スクールカーストがあると楽。

母親との戦いから

  • 母親との戦いが終わればまずは距離150まで進んで望実を仲間にすることが目標。望実が仲間になるまでは無理をしない。
  • とはいえ、距離150までひたすら逃げ回るのもジリ貧になる可能性がある。道中で一番ステータスが弱いのは根暗ちゃん。通常は状態異常攻撃を嫌って逃げるべきなのだけれど、根暗ちゃんの状態変化攻撃では社交は落ちないので、状態変化で他ステータスを落ちるのを気にせずに根暗ちゃんとだけ戦って経験値を稼ぐ立ち回りも使える。
  • 自信が高ければ痴漢とナンパで経験値が稼げるので、それで経験値を稼ぎながら距離150まで突っ切るのも有効。
  • 望実が仲間になったら一旦距離を下げて経験値を貯めて立て直す。ストーリーを進めようと前に行きがちになるが、ここは我慢。
  • 立て直せたら前に進むが、一気に最後まで行くのではなく、お金を稼いでマッチのお店に遭遇するのを待ち、ラスボスに勝てる必殺技を手に入れておくこと。
  • 高校数学より孔子の方が後に出てくるが、ステータスは孔子の方が低いことに注意。もし戦うなら孔子を選べ。
  • この部のラスボスは知恵で戦うことになるが、知恵はなかなか上げ辛い。知恵は諦めて、知恵以外の状態変化でのステータス上昇&必殺技で殴り続けることを前提とした方が良い。恐らく万能感+ハッタリ、二枚舌+根回し、スクールカースト+ハッタリか根回し、などが有効。ただ、必殺技の乱用による時間の使い過ぎには注意。

四部

道中簡単。ラスボスのみ強い。

  • お金を貯める→「人間をやめる」を買う→マシン化して技術に特化し言語とのみ戦う→距離をギリギリまで詰めてお金と経験値稼ぎ→マッチのお店で必殺技を揃えつつ最大HPと技術を上げる→ラスボスに挑む
  • この部はお金を経験値に変換するゲームなので、金運を下げてしまう彼氏はあまり必要ない。駄目な彼氏は捨てまくれ。

五部

ノーマルエンドはそれほど苦労なく到達できるけれど、ラスボスを討伐しなければならないトゥルーエンドの到達は相当難しい。ただこの五部は三部と違ってやり込みが苦にならなかったので、自分で色々探って攻略法を確立した方が面白いと思う。

ラスボス討伐に向けて

  • ラスボスは必殺技の出力勝負。まず「正拳突き」は必須。「次元断」もあるといいが、次元断を使う場合は時間の温存も考えておくこと。必殺技の説明を読むだけではダメージの大小があまり分からないので、あらかじめ適当なバトル中に必殺技の実ダメージを確認し、ラスボスで使う必殺技を考えておくと良い。出力の弱い必殺技や、状態に依存する使い勝手が悪い必殺技は道中で使ってしまって良いし、逆に、最大HPを削る必殺技は(GAME OVER必至で無い限りは)決して使わないこと。正拳突きのために最大HPを温存しよう。
  • 必殺技を揃えるため、必殺技ガチャができる深淵を覗きまくる。恐らく距離20~30、距離80~90、距離110~120で深淵が出るようになっているのでこの辺りをひたすらうろつき続ける。

二人で進む

  • 最初は我慢が肝心。レベル3まで上げるか、レベル2で良い武器が手に入るまで、距離15辺りをうろついてひたすら亡者を倒すことを徹底する。状態を「亡者」にされると厳しくなるけれども、状態が自然回復するまで逃げ回ってもHPが減って徐々に身動きが取れなくなっていくだけなので我慢して戦うしかない。
  • レベルが上がれば深淵覗きに励むこと。距離20~30をうろつき、ひたすら深淵を覗いて必殺技を揃えていく。
  • 深淵に出てくる骸骨を倒しても経験値があまり貰えなくなってきたら距離60まで進む。

茉理一人で進む

  • 距離100に待ち構える魔法少女に勝てるステータスと必殺技を揃えることを目標とする。使える必殺技が出るまでひたすら深淵を覗く。
  • 魔法少女との戦いは短期決戦。力を下げられてジリ貧になる前に倒さなければならない。3ターンで100ダメージちょい与える目途が立てば距離100へ進む。
  • ラスボスで使いたい必殺技はここでは温存する。最大HPは絶対温存。時間はなるべく温存。

主人公一人で進む

  • まず距離100まで進み、ロボットを「使って」仲間にすること。ロボットが仲間になると戦いが安定するので、良い必殺技が揃うまで深淵を覗き続ける。ラスボスで使わないアイテムはここで惜しみなく使ってしまおう。
  • 正拳突きは最大HPにダメージが比例するのでレベル上げも忘れずに。

2014年の漫画5タイトル

2014年に単行本が発行された漫画の中から面白かった5タイトルを選ぶ。

過去履歴

2013年の漫画5タイトル

http://metaparadox.hatenablog.com/entry/20131230/1388408771

2012年の漫画10タイトル

http://metaparadox.hatenablog.com/entry/20121231/1356962107

2011年の漫画10タイトル

http://metaparadox.hatenablog.com/entry/20111231/1325318718

2010年の漫画10タイトル

http://metaparadox.hatenablog.com/entry/20101228/1293529565

2009年の漫画10タイトル

http://metaparadox.hatenablog.com/entry/20100110/1263074961

選出基準

  • その年に単行本が発行された漫画
  • 過去選出作品は原則除く

逢沢りく/ほしよりこ

別冊文藝春秋掲載 上下巻

逢沢りく 上

逢沢りく 上

子供はわかってあげない/田島列島

モーニング掲載 上下巻

あれよ星屑/山田参助

月刊コミックビーム連載中 単行本最新2巻

刻刻堀尾省太

モーニング・ツー掲載 全8巻

刻刻(1) (モーニング KC)

刻刻(1) (モーニング KC)

セケンノハテマデ/サライネス

モーニング掲載 単行本最新2巻

一度読んでそれっきりとなる漫画が最近多くなってきている中、今年特に何度も読み返した漫画を選んだ。テーマは何であれ、人を描く漫画はやっぱり面白い。