#2010sBestTrack に入れなかった曲達
#2010sBestTrack (Japanese Music)
投票ルールに抵触したり自分ルールに抵触したり何やらで、上記の30曲には入れなかった曲達。
原曲が古いパターン
FISHMANS+ / A Piece Of Future 2012
http://www.juno.co.uk/products/a-piece-of-future/473006-01/
ルールではセーフだけど、さすがに原曲は20世紀なので入れられなかった。
Buffalo Daughter / New Rock 20th
原曲の「New Rock」も勿論完成度が高かったけれど、こちらのバージョンもいい。ドラムとベースが鳴るだけでご飯三杯いける。
現在入手困難(一般流通していない、限定即廃盤、など)
salyu x salyu / Hammond Song
ライブ会場限定販売「話したいあなたと」のカップリング。The Rochesのカバー。
「話したいあなたと」はいずれ出るアルバムには入るだろうけれど、こちらは収録されないかもしれない。salyu x salyuの特性を生かした、一度聴くと忘れられない曲なのだけれど。
相対性理論 / キッズ・ノーリターン (single ver.)
このYoutubeのアルバム版じゃなくて、ライブ会場限定販売の「YOU & IDOL / キッズ・ノーリターン」に収録されている方。今調べたらアナログ盤の『ν TOWN AGE』にも収録されているらしいから入れても良かったな。
向井秀徳 / ダイニング・キッチン
ライブ会場限定販売なんだけど、ライブ会場ではよく見掛けるので意外に売れていないのかな……。
歌詞を見ても分かるとおりアルバムはアホな曲が多いけれど、このダイニング・キッチンみたいなまともな曲も入っていてお勧め。
NATSUMEN / Cicadabrot ver0.1.3 (Rough Mix)
http://natalie.mu/music/news/57206
新譜が発売延期になったお詫びに無料で公開された曲。その発売延期からもう三年になろうとしてるんだけど……。
#2010sBestTrack (Japanese Music)
選曲
bloodthristy butchers / デストロイヤー
吉村秀樹さん最後のアルバムより。bloodthristy butchersらしく澄み切った、拳を空に突き上げたくなる曲。もう二度と聴くことはできないけれど、ライブで新曲として演奏されたデストロイヤーは本当に格好良かったし、この曲が入ったアルバムがリリースされたらbutchersの時代がもう一回来ると思っていたよ。
LOSTAGE / BLUE
LOSTAGEが自分達のスタンスを崩さず、少しずつ少しずつ高めていったポップネスが、やっと結実した一曲。この曲の方向性はLOSTAGEの持ち味ではないのかもしれないが、バンドの名刺になる一曲であり、恐らく最もファンを増やした一曲だろう。
きのこ帝国 / 海と花束
シューゲイザーを貫きながら日本のロックバンドのメインストリームに立ち続ける、脅威のバンド。恐らくきのこ帝国の10年代のベストトラックはこの曲ではなく、数年後にリリースされる曲だろう。けれども今はこの曲が一番。
赤い公園 / 今更
新しい世代の台頭を確信した一曲。難解さと分かりやすさを同居させつつ、まるで破綻しないそのバランスセンスに痺れる。
SuiseiNoboAz / 水星より愛をこめて
「NUMBER GIRLのフォロワーは山程出てきたけれど、遂にZAZEN BOYSのフォロワーが出てきたか!いや、それ以上だ!」と、地力と若さに溢れたこのデビュー曲を聴いた時の衝撃は忘れない。向井秀徳プロデュースであったが、その話題性以上のポテンシャルがこの楽曲、バンドにはあった。
KIMONOS / Soundtrack To Murder
KIMONOSの中でも、向井さんと今井さんの両方が程良い力関係で混ざり合って昇華された曲。過剰にロックでなく、過剰に渋くなく、二人の音楽センスが純粋に混ざり合って生まれた美曲。
アナログフィッシュ / 平行
アナログフィッシュのセンスを確信した一曲。音数は少なくメロディもベースもシンプルで、奇抜さは全くない。なのになぜ、こんなに心に残り、リピートしたくなるのだろう。不思議で仕方ない。だからまた聴いてしまう。
world's end girlfriend / Les Enfants du Paradis
world's end girlfriendがポップミュージックに手を出した結果、怪物が生まれてしまった。計算ずくで破壊されたロックミュージック。その破壊された断片が一つ一つ止まって見えるように感じられるほど、音が丁度心地良い「そこ」に出てくる。
もしかして心読まれてる?と、聴き手の心を静かに見透かしてくる魔曲。
downy / 春と修羅
downyが大復活したアルバム「第5作品集『無題』」の曲はどれも良いのだけれど、ここでは何度聴いても掴めない不思議な曲を。ボーカルの世界とベースラインの世界が全く別であるようにも聞こえるし、シンクロしているようにも聞こえる。毎回不定のタイミングで意識を持っていかれて、同じ気持ちで聴き直せたことがない。霞のようだ。
七尾旅人 / サーカスナイト
夜の自分に寄り添ってくる曲。七尾さんの曲を選び出すとどれもこれも良くて絞れなくなるけれど、パーソナルな視点では一番しっくりくる曲がこのサーカスナイトだった。その時の気分で曲から見える情景が異なってくる、懐の深さもあって良い。
LEO IMAI / OMEN MAN
鉄と飯!鉄と飯!
えっ?LEO今井ってこんな骨太だったっけ?と驚く豪腕ロックチューン。今井さんにこれをやられたら他のロックバンドはお手上げだな。KIMONOSの後にリリースされたアルバムだが、ZAZEN BOYS色に染まった曲でもない。経験を積んだ今井さんが、今井さんの中から生み出した曲であり、新境地。
ZAZEN BOYS / ポテトサラダ
この曲以来、唐突にポテトサラダを喰いたくなる病が治らない。でも自分で作ると美味しくないんだよなあ。
銀杏BOYZ / ぽあだむ
銀杏BOYZが燃え尽きながら残した最後の曲が、こんなにストレートなラブソングだなんて。
「ポップな退屈」と意味付けられたこの曲を完成させたことで銀杏BOYZはやっと、カリスマと崇められた青春の狂騒から、身近な日々の生活に着地できたのかもしれない。
group_inou / KNUCKLE
犬!歯と!ナッ!クル!!!!!
曲を知らなくてもライブで盛り上がる事ができるgroup_inouのベスト・オブ・キラーチューンであり、ライブの鬼であるgroup_inouを象徴する一曲。人生の無敵時間に流れて欲しい。
80KIDZ / Spoiled Boy feat. Lovefoxxx
この曲が邦楽に入るのなら、入れない手はない。スケールが違う。存在感が違う。
yanokami / Don't Speculate
ハラカミさんの最後のアルバムとなった「遠くは近い」の一曲目。美しく力強く、前を向かせてくれる曲。感傷的になっている時間は勿体ないのだ。
泉まくら / candle
客演にハズレ曲無しの泉まくら。最早、客演が泉まくらさんならガッツポーズが出る程だ。このシングルも中毒性が強く、取り扱い危険。個人的にはCharaに恋していたあの頃を思い出してしまう。
やくしまるえつこメトロオーケストラ / ノルニル
「やくしまるえつこ」では表現しきれなかったやくしまるえつこの世界感を、一気に具現化させた「やくしまるえつこメトロオーケストラ」のデビュー曲。
オーケストラ要素を主体としながら、存在感のあるドラムやギターが疾走感を表現するこのバランスは、バンドにオーケストラ要素を取り入れた多くの楽曲にはないもので、素晴らしい。
坂本慎太郎 / スーパーカルト誕生
「ナマで踊ろう」の気味の悪さを象徴する一曲。気味が悪いのに懐かしい。楽しくないのに惹かれる曲。芸術に相対する気持ちで音楽を聴いている自分に気付く。
salyu x salyu / ただのともだち
自らのポジションを固め、今の小林武史プロデュースの傘下で安泰のはずのSalyuが、新たな挑戦に踏み出した「salyu x salyu」の衝撃を象徴する一曲。Corneliusとのタッグは一過性のものかと思いきや、長く活動を続けられているようで嬉しい。
宮内優里 / digo_
Chemical BrothersのStar Guiterに匹敵できるPVだ。
この曲はヘッドフォンで聴いて欲しい。音の配置の繊細さにきっと驚く。楽器の鳴り方一つに心を躍らされるし、曲全体として音の隙間や厚みが程良く統制されていることに感動する。
lyrical school / brand new day
あれっ?AxSxEさんプロデュース?もー!NATSUMENの新譜は何年放ってるの?ねえ?と突っ込みたくなる気持ちもこの作品の前ではぐっとこらえるしかない。6本のマイクを持つlyrical schoolの特徴を生かしつつ、トラックにも遊び心が一杯に詰まっていて何度聴いても飽きない。
タルトタタン / ポリティカルないきものたち
タルトタタンのお祭りはまだまだ続く。
相次ぐメンバーチェンジとプロデュース変更に「タルトタタンは終わった」と思ったが、終わって即始まったので驚いた。ヤマモトショウさん、ふぇのたすより良い曲出してきてない?
環ROY / Break Boy in the Dream feat. 七尾旅人
ラップとボーカルを混ぜれば名曲のできあがり、なんて単純な曲じゃない。
環ROYさんのひたむきな歌詞に、七尾さんのボーカルが強い意志を見せる。二人の声を一人で静かに噛みしめたい。
禁断の多数決 / トゥナイト、トゥナイト
早々に孤高の存在となってしまった、10年代を代表するバンドである「禁断の多数決」。どこかで聴いたことがあるフレーズをかつて聴いたことがないタイミングで流し込む、童顔変態センスに脱帽。
クラムボン / tiny pride
「あかり from HERE (clammbon side)」がルール上入れられなかったけれども、クラムボンにはtiny prideがあった。最近のクラムボンらしい繊細さと、変わらないクラムボンの繊細さが同居する、少しだけ胸を痛ませる曲。
やくしまるえつこ / ロンリープラネット
「ロンリープラネット」をより感じるために、このYoutubeのPVではなく、「RADIO ONSEN EUTOPIA」収録の曲でもなく、16分弱の長編となっているシングルを聴いて欲しい。部屋を暗くして、ライカ犬や星新一のショートショートを思い出しながら、他に何もせずただ聴きたい。
Perfume / Hold Your Hand
危なかった!この曲がなかったら「Dream Fighter選びたかったのになあ」「edge選びたかったのになあ」と思いながらの選曲になってしまってPerfumeは選出なしになるところだった!
Perfumeってアイドルだったな、とその可愛さを再確認できる一曲。あと、やっぱあ〜ちゃんだなとやっぱ言いたくなる西脇さんの声質よ。
SUMMER SONIC 2014 Osaka 二日目 (2014.08.17)
VINTAGE TROUBLE
ファンクでブルージーなロックバンド。特にこのバンドについての知識は無かったのだけれど、一昨年のSUMMER SONICで話題になったらしいとの友達の勧めでOCEAN STAGEに観に行った。
一曲目からボーカルのタイ・テイラーがステージを縦横無尽に動き、あっという間にメインステージの観客をロック。これぞファンクシンガーと言いたくなる軽快なステップとエモーショナルなボイスが、真夏の炎天下のメインステージというシチュエーションにぴったりで、観客は踊らにゃ損とばかりに浮かれ出し、そこからはお祭り状態。MCの煽りにも観客は阿吽の呼吸で反応。一体感とはまさにこのことだ。動きと音楽で伝わる「言語」がそこにはあった。
BABYMETAL
MOUNTAIN STAGEに多くの観客が集結。興味本位の観客が集まったのかな、と思いながら後方で眺めていたところ、曲が始まるなり近くの観客が訓練された動きをし始めたので驚いた。活動拠点の東京からは大きく離れたこの大阪に、多くの「BABYMETALファン」が集まってきていたのだ。
MOUNTAIN STAGEに集まった大量のファン、そしてそれに負けない、余裕すら感じさせるBABYMETALのパフォーマンス。クオリティの高さに十分満足した一方で、きっとこの短い時間のステージはBABYMETALの魅力の半分も引き出せていないだろうとの確信もあり、末恐ろしくなった。まだまだいくよー!
ROBERT PLANT AND THE SENSATIONAL SPACE SHIFTERS
伝説の男を目撃しよう、との感覚で観に行ったけれど、Robert Plantはまだまだ現役だった。Robertのボーカルの質や動きがとてもセクシーで、これがロックの最前線に立ち続けた男の色気か!と衝撃を受けた。QUEENのBrianもそうだけれど、老いてなお現役のロッカーの格好良さよ。
Arctic Monkeys
ライブを観た直後は感想が難しいライブだったのだけれど、家に帰って音源を聴きながらライブを振り返ると、色々見えてくるものがあった。
3rdアルバム「Humbug」の方向転換によって、急にバンド像が掴めなくなってしまったArctic Monkeys。しかしながらこのライブによって「Arctic Monkeysというバンドの今の捉え方」が理解できたかもしれない。
今回のライブは5thとなる最新アルバム「AM」の根底に流れていた、タイトでヘヴィなサウンドがベース。5th以外の曲は5thのテイストで再構築されていて、前のSUMMER SONICのライブと比べると一見地味。しかし振り返ると、この地味さは完成度の高さの裏返しではなかったか。
例えば、初期のキラーチューンである「Brianstorm」「I Bet You Look Good On The Dancefloor」は曲の速さはそのまま残しつつ重量感が増したアレンジとなっていたのだけれど、これは前のSUMMER SONICで聴いた時より踊れた。当たり前のように気持ち良かったのでうっかりしていたけれど、この二曲は今のArctic Monkeysのヘヴィな演奏になって「完成」したと言って良いと思える。速さに重さが加わったら攻撃出力が最高なのは当然で、そんなバンドが最高なのも当然だ。
なるほどArctic Monkeys、実は遠くの完成形を目指して一つ一つ積み上げていたのかもしれない。それを短絡的にしか見られなかったので、「迷走?」と捉えてしまっていたのかもしれない。新譜のサウンドはベテランバンドのような落ち着きが全編に現れていたけれど、ライブでは過去のアルバムの要素が垣間見え、それがライブ全編通しての「味」となっていた。漆塗りのようなバンドだ。