集団行動 SUPER MUSIC TOUR -MUSIC編-@心斎橋Music Club JANUS (2019.04.19)

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集団行動の「SUPER MUSIC TOUR」のMUSIC編を4月に心斎橋で観た。

今回のツアータイトル「SUPER MUSIC TOUR」は3月にリリースされた三作目となるニューアルバム「SUPER MUSIC」にちなんだもの。「SUPER編」と「MUSIC編」があり、SUPER編はアルバムリリース前の2月に観た。その時の記事はこちら。

metaparadox.hatenablog.com

ニューアルバムの「SUPER MUSIC」について、真部さんはこの翌日にあったタワーレコードでのインストアライブにて「バンドマンとして一番好きなアルバム」だと仰っていた。ちなみに一作目は「クリエイターとして一番好きなアルバム」、二作目は「一人の男として一番好きなアルバム」とのこと。過去二作は真部さんによるコンセプチュアルな作品であった一方で、今作はバンドとして各メンバーの可能性が感じられた作品だったということだろう。リリース直前のライブだった2月のSUPER編のライブからも感じられたのは、集団行動がいよいよ真部さんの計算に収まるものではなくなってきているということだった。

前座のことはさておき、本編は「チグリス・リバー」のSEにてメンバーが登場し……演出があってから、ボーカルの齋藤さんの静かな「こんばんは、集団行動の時間です」から開幕した。一曲目はニューアルバムと同じく「SUPER MUSIC」。そこからの序盤はニューアルバムから選りすぐりのノリの良い曲が連続で演奏されて盛り上がった。

二作目までの集団行動のアルバムにはノリの良い曲はあまりなく、二作目に収録されている「鳴り止まない」くらいだったけれども、ニューアルバムにはノリの良い曲が多く収録されている。初期から演奏されていた「ティーチャー?」もこのニューアルバムに収録されたということで、これは齋藤さんがライブで幅広いスタイルの曲を歌いこなせるようになったからだろう。明るいトーンの曲を楽しそうに笑顔で歌う齋藤さんをライブで観ると、このバンドにますます引き込まれてしまいそうになる。集団行動のライブは今年から見始めたのだけれども、数ヶ月の短い期間ですら明らかに齋藤さんの存在感が増していて、急速にバンドのフロントマンとしての素質が開花していることに驚く。

ただバンドの紅一点のボーカルとしては齋藤さんは特異で、必要以上にアピールしないタイプのまま成長しているところがとても面白い。紅一点のボーカルを擁するバンドは、ボーカルの印象だけが突出して強くなり「有名なボーカル」と「印象の薄いバックバンド」みたいなメンバーの断絶を感じることが多いけれども、集団行動は齋藤さんがあくまでバンドの一員としてチームワークの中で成長しているので、他のメンバーの個性がかき消えることがない。

抜群の美貌は齋藤さんの大きな特徴だけれども、それはバンドのボーカルとしては決して大きな特徴ではなく、むしろありきたりな紅一点ボーカルバンドの枠に収まってしまいかねない危険すらあった。でも集団行動はそうはならなかった。それは齋藤さんの真面目さと素直さがあったからこそで、その内面こそがボーカルとして唯一無二の武器となり得る才能だったのだ。この齋藤さんの可能性を、真部さん、西浦さんは予期していただろうか。

ライブの中盤でのギター演奏にトラブルがあったりなど、まだまだバンドの演奏として荒削りなところはあったけれども、荒さを見せられる程にバンドが成長したとも感じられた。ワンマンライブの余裕がバンドの荒削り感に現れたのかもしれない。ただチャレンジしてからの終盤の「会って話そう」からの定番の旧曲の安定感はさすがで、怒濤の勢いで全く飽きることなく締まった本編だった。

メンバーの集団行動できなさを露呈したアンコール後のMCも、最後の「チグリス・リバー」の合唱も、バンドの雰囲気の良さを感じられて良かった。「鳴り止まない」の盛り上げ方も、これまでと一味違っていて良かった。良いバンドのライブだった。ライブをやればやるほどさらに良くなるバンドだと思うので、もっとライブをやって欲しい。待っています。

セットリスト

  • チグリス・リバー (入場SE)
  • SUPER MUSIC
  • テレビジョン
  • セダン
  • パタタス・フリータス
  • ザ・クレーター
  • 充分未来
  • 皇居ランナー
  • 婦警さんとミニパト
  • クライム・サスペンス
  • スープのひみつ
  • 土星の環
  • 1999
  • ぐるぐる巻き
  • フロンティア
  • 会って話そう
  • ティーチャー?
  • ホーミング・ユー
  • モンド
  • オシャカ

~アンコール~

  • 鳴りやまない
  • チグリス・リバー