SuiseiNoboAz@京都nano (2011.10.08)

SuiseiNoboAz 2nd Album "THE (OVERUSED) END OF THE WORLD and I MISS YOU MUH-FUH"release tour 「THE END OF THE WORLD v.s. ビニールぶくろ」というのが正式なツアータイトル。2ndアルバムのレコ発でやっと関西にワンマンで来てくれた。

1stアルバムが向井秀徳プロデュースでその筋の人に知名度を上げた3ピースロックバンドのSuiseiNoboAz。今年出した2ndアルバムの完成度が高くこれはライブに行かねばと思っていたのだけれど、アルバム発売から待つこと三ヶ月、ようやく関西にもワンマンで来てくれたので足を運んだ。

京都nanoは地下鉄の烏丸御池と二条城の間にあるキャパ100人程のライブハウス。「音楽を演奏する場」にシンプルに特化したスペースで、小さい箱にありがちな音の不安定さも無く好印象。

土曜日ということもあって?なんとこのライブは当日昼にSOLD OUT。満員のフロアの客層は女性が多め。京都らしく若者も多かったのだけれど、青田買いするわよ的な目つきの女性も少なからずいて好印象。


バンドは、ボーカル・ギターの石原さん、ベースの溝渕さん、ドラムの櫻井さんという男性三人の構成。男性バンドに対して女性の観客が多いとライブがどう盛り上がるか読めない(……ほら、男は単純馬鹿なので一定数集まれば勝手にモッシュし出すとか読めるものだけれど)ので探り探りだったのだけれど、開幕「over the rainbow」からの「E.O.W.」の二曲で問題なくがっつり持って行った。



「E.O.W.」
ポップ寄りに完成された2ndアルバムを代表する弩直球名曲。


ライブが始まって最初に驚いたのはリズム隊。音源を聴いていると、特徴的に踊るボーカルとギターにまず耳を奪われてしまうのだけれど、ライブではドラムとベースの堅牢さから目を離せなかった。
震えすら見えるベースの溝渕さんの気合いの入りぶり。目が離せないベースプレイであるのだけれど「俺を見ろ!」的な気持ち悪さは全く感じないんだよなー。あと、ダブサウンドを支える、どころか場の空気まで手中に収める櫻井さんのドラムプレイ。

もちろんボーカルギターの石原さんは、そんなリズムの上で一番気持ち良い音を捻り出す演奏をしているのだけれど、この三者三様の独立独歩感……これは「男の美学」かしら。このプレイで最高に痺れる音が出せる、ということを100%信じて音を出している感覚。余計な音や無駄な音を入れて取り繕った装飾をすること無く、ただ三人が一番良い音を鳴らしている、それだけ。それだけで当たり前のように格好良い。


ライブ後半で切り札のように出してきた1stアルバムのリードトラック「水星より愛をこめて」は音源よりダブ感が進化。ライブでは鉄板だろうと想像していた「Ask For Tiger」は(特にドラムが)クソ格好良くアップデートされていた。この辺りのライブで魅せる力はさすがMATSURI STUDIOを潜ってきたバンドという印象。単なる轟音バンドでは無い。

4曲目位で時代を変えるファズを踏み抜いてぶっ壊してしまい、ステージ上でドライバーを使って中を分解して修理する(!)というアクシデントもあったものの、他はトラブルなく真っ直ぐにぶっ飛ばした20曲弱。大満足だった。何度もありがとう、ありがとうと感謝の言葉をステージ上から投げかけていたのだけれど、こちらこそお礼を言いたい位のフルコース。

小さい箱で観られた贅沢感もあったのだけれど、やっぱりもう少し大きい箱で観たいなあ。多分予約なしの当券で入るつもりだったお客さんももっと居たと思うんだよなー。次回の来京(阪神)は大きい箱を期待。